成功を収めればウン十億円を稼ぐことができ、成功できなければ簡単にクビになってしまう、華やかでありながらも厳しいプロ野球の世界。
一軍には最低保証年俸が存在するため、特に年俸が低い選手にとっては一軍昇格は一つの目標になっています。
この記事では、そんなプロ野球の一軍最低年俸がいくらなのか、また日割りでもらえるのかどうかや条件についても紹介していきます。
【2024年】プロ野球一軍最低年俸はいくら?
2024年のプロ野球一軍最低保証年俸は1600万円です。
一軍最低保証年俸は、2019年11月まで1430万円でした。
以前引き上げられたのが、正田耕三氏が選手会長をしていた時(1995年~1998年)なので、20年以上もの間1430万円で固定されていたことになります。
最低保証年俸が引き上げられた背景は、「ここ20年の物価の変化などにつれて、1430万円という金額に魅力を感じないのでは?」という議論があったからと、元プロ野球選手の今浪氏は語っています。
20年経過して200万円弱しか上がらないのもどうかとは思いますが…
二軍選手と育成選手の最低保証年俸は?
上記は一軍の最低保証年俸であり、二軍選手と育成選手の最低保証年俸は一軍と比べて大きく下がります。
一軍最低保証年俸 | 1600万円 |
支配下選手最低保証年俸 | 440万円 |
育成選手最低保証年俸 | 240万円 |
一般企業で例えるならば、育成は中小企業の新卒1年目、二軍は中堅社員、一軍は大手企業の部長クラスぐらい違います。
特に育成選手は1軍に上がれば給料が約6.7倍になるので、がむしゃらに頑張る原動力になります。
プロ野球一軍最低年俸の日割りの計算方法は?条件は?
プロ野球の一軍最低保証年俸は日割りでもらえます。※支払いはシーズン終了後にまとめて行われます。
一軍最低保証年俸を受け取る条件は、「一軍登録されている」かつ「最低保証年俸を下回っている」ことです。
一軍最低保証年俸の計算方法
前述の通り、一軍登録されていてかつ一軍最低保証年俸を下回っている選手は、自分の年俸との差額を日割りでもらえる決まりになっています。
一軍最低保証年俸の日割り計算式は下記の通り。
(1,600万円-自身の年俸)÷150日(年間一軍登録日数)×一軍登録日数
例えば、支配下登録の最低年俸440万円の選手が1年間に10日一軍登録された場合、差額でもらえる金額はこのように計算されます。
77万3,333円が差額でもらえるので、これを自身の年俸に足すと、この年の年俸は517万3,333円になります。
若手からするとちょっとしたボーナスですよね!
ちなみに、「差額」というのがポイント。
一軍最低保証年俸以上の年俸をもらっている選手には適用されません。
150日間一軍登録されると、その年の年俸は自動的に1600万円になる
計算式の関係上、150日間一軍登録されると一軍最低保証年俸の満額分が保証されます。
二軍でどれだけ活躍しても年俸の上がり幅はわずかのため、若手選手は一軍で活躍して、早めに最低保証年俸を超えることが重要になってきます。
MLBの最低保証年俸はいくら?
一方で、メジャーリーグの2023年の最低保証年俸は72万ドル(約1億円)です。
日本と全然違いますね!
MLBの最低保証年俸が高い理由は様々考えられます。
- 日本で二軍から一軍に昇格するのと、MLBでルーキーリーグからメジャーに昇格するのでは難易度が違うから。
- MLBはマイナーリーグの給料が低すぎるから。(年俸100万円台)
- 日本プロ野球との規模感の違い
このようにNPBとの難易度や規模感の違いから、MLBではメジャー昇格時の報酬が分厚くなっています。
更にMLBは、メジャー登録1日で終身医療保険が付帯したり、メジャー登録43日で年金の受給資格を貰えたりと、とことん報酬を厚くしているのが特徴です。
MLBの最低保証年俸は毎年のように上がり続けている
年度 | 最低保証年俸 | その年デビューした日本人メジャーリーガー |
---|---|---|
2026 | 78万ドル | – |
2025 | 76万ドル | – |
2024 | 74万ドル | 山本由伸、今永昇太、松井裕樹、上沢直之 |
2023 | 72万ドル | 吉田正尚、千賀滉大、藤浪晋太郎 |
2022 | 70万ドル | 鈴木誠也 |
2021 | 570,500ドル | 澤村拓一、有原航平 |
2020 | 208,704ドル ※短縮シーズンのため、563,500ドルから60試合分に再計算。 | 秋山翔吾、筒香嘉智、山口俊 |
2019 | 555,000ドル | 菊池雄星 |
2018 | 545,000ドル | 大谷翔平、平野佳寿 |
2017 | 535,000ドル | – |
2016 | 507,500ドル | 前田健太 |
2015 | 507,500ドル | 村田透 |
2014 | 48万ドル | 田中将大、和田毅 |
2013 | 48万ドル | 藤川球児、田中賢介 |
2012 | 48万ドル | ダルビッシュ有、青木宣親、岩隈久志、川﨑宗則 |
2011 | 414,000ドル | 西岡剛、建山義紀 |
2010 | 40万ドル | 高橋尚成、五十嵐亮太 |
2009 | 40万ドル | 上原浩治、川上憲伸、田澤純一 |
2008 | 39万ドル | 福留孝介、黒田博樹 |
2007 | 38万ドル | 松坂大輔、岩村明憲、岡島秀樹、井川慶 |
2006 | 327,000ドル | 城島健司、斎藤隆 |
2005 | 316,000ドル | 井口資仁 |
2004 | 30万ドル | 松井稼頭央、高津臣吾、多田野数人 |
2003 | 30万ドル | 松井秀喜 |
2002 | 20万ドル | 石井一久、田口壮 |
2001 | 20万ドル | イチロー、新庄剛志 |
2000 | 20万ドル | 佐々木主浩 |
1999 | 20万ドル | 木田優夫、大家友和 |
1998 | 17万ドル | 吉井理人 |
1997 | 15万ドル | 長谷川滋利、伊良部秀輝 |
1996 | 109,000ドル | マック鈴木 |
1995 | 109,000ドル | 野茂英雄 |
野茂英雄氏がメジャーデビューした1995年と2023年の最低保証年俸を比較すると、実に6.6倍も上昇しています。
1997年時点ではMLBの最低保証年俸が15万ドル(約1,800万円)と、NPBとあまり変わらない水準だったにもかかわらず、この20数年間で6.6倍もの差がついてしまいました。
日本では20年で上昇した最低年俸額が200万円にも満たなかったのに対し、アメリカでは毎年約200万円ずつ上昇し続けています。
今後も日本とメジャーリーグでは賃金格差が広がる一方になると予測されます。